電話リレー・ヨメテル・NET119。自分に合う連絡方法を選ぶには
電話リレーサービス・ヨメテル・NET119の選び方から、登録、料金、発信と着信の確認、使えないときの相談まで。手順とチェック表、問い合わせ例をまとめました。日常通話の練習と緊急通報の訓練は分けて説明します。

手話・文字で電話をしたいなら電話リレーサービス、自分の声で話して相手の声を読みたいならヨメテル。火事や救急を消防へ文字で通報する仕組みがNET119です。利用には、それぞれ事前登録が必要です。
予約を変更したいだけなのに、問い合わせ先は電話番号しかない。電話がかかってきても、相手の声が聞き取れるか心配になる。そんなとき、使える方法を知っていると、用件を家族や知人に頼まなくても済む場面が増えます。
三つのサービスで、自分が話す方法と相手の話を受け取る方法を比べてみます。登録手順と料金、うまくつながらない場合の相談方法は、後半にまとめています。
| サービス | 自分から伝える方法 | 相手の話を受け取る方法 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 電話リレーサービス | 手話・文字 | 手話・文字 | 日常の電話、対応する緊急通報 |
| ヨメテル | 自分の声 | 文字 | 日常の電話、対応する緊急通報 |
| NET119 | 文字など | 文字のチャット | 消防への119番通報 |
電話リレーサービス:手話か文字で話し、通訳オペレータが声にする
電話リレーサービスは、聞こえない・聞こえにくい人や発話が難しい人と、聞こえる人との電話を、通訳オペレータがつなぐサービスです。利用者はスマートフォンなどのアプリから、手話(ビデオ通話)か文字(チャット)でオペレータとつながります。オペレータは相手と声で話し、その内容を手話や文字で利用者に返します。
2020年に成立した「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」にもとづき、2021年7月1日から公共インフラとして提供されています。提供機関は、総務大臣の指定を受けた一般財団法人日本財団電話リレーサービスです。
- 使える時間:24時間365日。
- 緊急通報:110番、119番、118番にかけられ、緊急通報の通話料はかかりません。
- 番号:登録すると050から始まる番号が発行されます。この番号を伝えておけば、聞こえる人からもかけてもらえます。聞こえる人の側は、登録しなくてもかまいません。
- 料金:月額料の有無によるプランがあり、発信先や通話時間によって通話料が変わります。自分がかける場合と、相手から050番号へかける場合でも扱いが違います。契約前には、提供機関の料金表と自分の電話の使い方を照らし合わせてください。
提供機関は使うときのコツとして、専門用語の多い用件では、相手を呼び出す前に内容をオペレータに伝えておくこと、返事に時間がかかりそうなときは相手にひと言伝えてもらうことを挙げています。外出中など顔を映したくない場面では、文字のリレーを選べます。
ヨメテル:自分の声で話し、相手の声を文字で読む
ヨメテルは、自分の声で話し、相手の声を文字で読める電話サービスです。提供しているのは電話リレーサービスと同じ日本財団電話リレーサービスで、法律にもとづく電話リレーサービスのひとつとして位置づけられています。
自分の声で話せる一方、電話の返事を聞き取りにくい人に向けたサービスです。利用者は声で話し、相手の声を画面上の文字で読みます。
文字にする方法は、AIの音声認識だけで表示する方法と、文字表示オペレータが修正を加える方法(公式サイトの表記は「+修正」)から、かけ先や用件に合わせて選べます。「+修正」でも修正は一部で、すべての言葉が正確になるとは限りません。また、利用者から文字表示オペレータへ話しかけたり、説明を頼んだりすることはできません。日付・金額・固有名詞が曖昧なときは、通話相手に言い直してもらうなどして確かめます。
- 使える時間:24時間365日。
- 緊急通報:110番、119番、118番に対応しています。緊急通報とフリーダイヤルは無料です。
- 相手への案内:通話の始めに、相手側に「この通話を文字にします。」というガイダンスが流れます。
- 料金:電話リレーサービスと同じ料金体系です。
- 登録:公式サイトの案内に沿って、利用者登録と本人確認を進めます。使いたい日の直前ではなく、余裕を持って手続きしておきましょう。
聞こえの程度に加え、声・手話・文字のどれで話し、返事をどう受け取りたいかを考えて選べます。

登録から、実際に通話できるまで
申込み後は、利用開始の案内が届くまで待つ場合があります。使いたい日に間に合うよう、各サービスの登録ページで必要書類と手続きの目安を調べてから進めます。
1.本人が使いたい会話の方法と端末を決める
手話で話す、文字を入力する、自分の声で話す。相手の返事を手話で受け取るか文字で読むかも含めて選びます。家族が登録を手伝う場合も、家族の好みで方法を決めず、本人が無理なく使えるかを確認します。
使う端末の機種名・OSと、公式の動作環境を照合します。スマホのアプリとパソコンのブラウザでは、ログインや着信の扱いが同じとは限りません。まず普段持ち歩く端末で利用するのか、机に置いた端末で使うのかを決めると、確認する説明を絞れます。
2.公式の登録先で、利用条件と必要書類を読む
電話リレーサービスの登録案内と、ヨメテルの登録案内に、それぞれ必要なものが掲載されています。書類の写真を送る場合は、表裏の指定や、写してはいけない番号の扱いまで読んでから準備します。本人確認書類は、公式の指定先だけに提出します。
ヨメテルは、手帳を持っていない人も申請できると公式に案内しています。電話の相手の声が聞こえにくい場合は、利用条件を確かめてみてください。
同じ電話番号を使う手続きと、ほかの制度の登録
電話リレーサービスとヨメテルで電話番号を共用するには手続きがあります。新規登録か既に利用中かによって案内が異なるので、両方を使いたい場合は各公式サイトの共用案内を読んでから申し込みます。
自治体の手話通訳・要約筆記派遣、電話リレーサービス・ヨメテル、NET119の登録はそれぞれ別です。対面の通訳派遣を利用していても、電話や通報サービスを使うには、そのサービスで登録が必要です。
使う連絡方法ごとに、利用開始の案内と操作方法を保管してください。
3.申請後の連絡と、利用開始の案内を確認する
ヨメテルには、オンライン本人確認のほか、書類の画像を送り、番号などの郵送を待つ登録方法があります。「最短当日」はすべての申請で当日中に使えるという意味ではありません。
申請を終えたら、受付の連絡や案内を保存します。連絡が届かないときは、迷惑メールの振り分けや登録した連絡先を確認し、案内された目安を過ぎたら公式窓口へ相談します。問い合わせには、申請日と選んだ登録方法を添えましょう。
4.ログインし、着信と通話方法を設定する
電話リレーサービスは、発信時に手話か文字かを選べますが、着信を受けるときの方法はあらかじめ設定する仕組みです。公式の利用方法で、発信と着信を別々に確認してください。自分から電話できたとしても、相手からかかってきた電話に気づけるとは限りません。
ヨメテルを複数の端末で使う場合も注意があります。公式の登録案内では、同じ番号で複数端末へ同時にログインできず、最後にログインした端末が利用対象になると説明されています。パソコンで使ったあとに外出するなら、持ち出す端末の状態を確認します。
5.短い用件で、発信と着信を試す
家族や知人に時間を取ってもらい、自分からかける操作と、相手からかけてもらう操作を試します。手話なら顔と手が画面に入るか、文字なら入力と表示を無理なく読めるかを見ます。着信の通知にも気づけるか、端末を普段置く場所で確かめてください。
用件は「次に会う日時を決める」程度でも十分です。終わったら、見にくかったところや直したい設定を控えます。動作確認のために110・119・118へ通報しないでください。 緊急通報の練習は、消防本部などが案内する訓練方法に従います。
月額料と通話料を比較する
2026年10月20日に確認した電話リレーサービスの料金表とヨメテルの案内には、次の税込料金が掲載されています。申し込む際は最新の公式料金表を確認してください。
| 発信する場合 | 月額料なしプラン | 月額料ありプラン |
|---|---|---|
| 月額料 | 0円 | 178.2円/月 |
| 固定電話などへの通話 | 16.5円/分 | 5.5円/分 |
| 携帯電話への通話 | 44円/分 | 33円/分 |
| 0570への通話 | 33円/分 | 33円/分 |
| 緊急通報・フリーダイヤル | 無料 | 無料 |
電話リレーサービスの固定電話の欄には、特定IP電話も含まれます。通話料とは別に、端末のインターネット通信料がかかる場合があります。携帯電話で契約しているかけ放題が、これらのアプリの発信にも適用されると決めつけないでください。
比較するときは、過去の用件を思い出し、固定電話と携帯電話へどれくらいかけるかを分けます。たとえば固定電話へ月20分かけると仮定した単純計算では、月額料なしは330円、月額料ありは288.2円です。これは料金表の数字からの比較例で、実際の請求額は課金単位や税の端数処理などによります。
相手から専用番号へかけてもらう場合は、相手の電話契約に応じた050番号への通話料がかかります。こちらから発信するときの料金表とは区別して確認してください。
NET119:119番を、文字と位置情報で
NET119(Net119緊急通報システム)は、ふだんの電話には使いません。火事や急病のときに、声で119番に通報することが難しい人が、スマートフォンなどから消防に知らせるための仕組みです。総務省消防庁が、全国の消防本部に導入を進めてきました。
通報するときは、画面で「救急」か「火事」かを選びます。スマートフォンのGPSで現在地が伝わり、詳しい状況は文字のチャットでやりとりします。千葉市消防局の案内では、事前に登録した情報とGPSの位置情報によって、通報場所を素早く特定する仕組みだと説明しています。
NET119は事前登録制です。登録の窓口は、住んでいる地域や、通勤・通学先の消防本部です。千葉市の場合、申請書を出してから登録まで1週間ほどかかると案内しています。スマートフォンやタブレットのほか、一部の高機能フィーチャーフォンも対象ですが、従来型の携帯電話は使えません。対応機種を確認してください。千葉市は、登録した端末ならGPSによって全国どこからでも通報できるとしています。外出先での扱いを含め、細かな運用は登録先の消防本部に確認してください。
運用変更やメンテナンスは、登録先の消防本部とサービス提供機関のお知らせで確認できます。
NET119の登録で確かめる項目
住所地と通勤・通学先が違う場合は、どの消防本部へ申請するかを先に尋ねます。その消防本部の登録案内で、次の項目を確かめてください。
| 登録前・登録後 | 確かめること |
|---|---|
| 申請先 | 住んでいる地域、通勤・通学先のどこで登録するか |
| 端末 | 手持ちの機種・OS・ブラウザで利用できるか |
| メール | 登録完了などの連絡を受信できるか |
| 緊急連絡先 | 記載する相手に、連絡が入る場合があることを説明し同意を得たか |
| 利用開始 | 完了の連絡を受け取り、指定の起動方法を設定したか |
| 練習 | 本通報と区別された練習・訓練の方法はあるか |
| 変更時 | 引っ越し・メール変更・機種変更をどこへ届けるか |
千葉市では、登録完了メールのURLから、ホーム画面などに起動用ショートカットを作る流れです。他の地域で登録する場合は、その消防本部の手順を使います。
警察への通報には「110番アプリ」
NET119は消防への通報の仕組みです。警察には、警察庁の「110番アプリシステム」があります。こちらも事前登録が必要で、文字のチャットと写真で警察に通報できます。GPSで位置を伝えられ、国内のどこからでも、その場所を管轄する警察本部につながります。登録や変更にSMSを使うため、SMSとデータ通信が使える携帯電話の契約が必要です。
予約変更・仕事の着信・緊急通報での使い分け
病院の予約を変えたいとき。 手話で話したいなら電話リレーサービスの手話、文字のほうが楽なら電話リレーサービスの文字。自分の声で話せて、聞き取りだけが難しいならヨメテルが向いています。病院にWeb予約やメールの窓口があれば、利用できる用件や返答までの時間も確認して選べます。
職場や取引先からの電話を受けたいとき。 電話リレーサービスやヨメテルで発行された番号を、あらかじめ相手に伝えておきます。名刺やメールの署名に書いておくのも、ひとつの方法です。
火事や急病のとき。 登録・利用準備が済んでいれば、NET119のほか、電話リレーサービスやヨメテルからも119番へ通報できます。自分が使う方法を決め、起動のしかたを確かめておきます。
通訳の役割、誤変換、通信が使えない場合
電話リレーサービスの通訳オペレータは、あなたの言葉を相手に伝える通訳です。用件を代わりに判断したり、交渉したりする役割ではありません。通訳を挟むぶん、やりとりには時間もかかります。東京都は聞こえる側に向けて、電話リレーサービスを介した電話を拒否しないこと、ゆっくりはっきり話すことを呼びかけています。
ヨメテルの文字には誤変換が含まれることがあります。日時・金額・薬の名前などを相手に確かめる方法は、後の「字幕の数字や名前が合っているか分からない」で紹介します。
NET119も110番アプリも、インターネットを使う仕組みです。電波の状況や通信の混雑で使えないことがあります。引っ越しや機種変更のときには、登録内容の更新も必要になります。
自治体の窓口には「手話リンク」も
対応する自治体などの窓口には、「手話リンク」という仕組みもあります。自治体などのウェブサイトに置かれたボタンから、手話通訳オペレータを介して、その窓口へ電話で問い合わせができます。利用する側の登録はいりません。カメラ付きのパソコンやスマートフォンがあれば使えます。
予約変更などの電話をかけるとき
予約変更の電話なら、現在の予約日時、名前や予約番号、変更したい候補日を手元に書いておきます。
相手がその場で答えられず、折り返しになることもあります。連絡してもらうのは普段の携帯電話番号か、サービスの専用番号かを確かめてください。
通話の最後に、決まった内容を相手と読み合わせ、控えを残します。
うまく使えないときの相談先と伝え方
ログインできない
使っているのが電話リレーサービスかヨメテルか、入力している番号がそのサービスのものかを確認します。記憶だけで違うパスワードを何度も試さず、公式の再設定や問い合わせを使います。サポートへ連絡する際も、パスワードそのものは送らず、画面のエラーと起きた操作を伝えます。
発信できるのに、着信に気づかない
通話相手には、どの番号へかけたかを確認してもらいます。自分の携帯電話番号と専用番号を取り違えていないか、その次にアプリの通知や利用端末を確認します。設定の名称はOSで変わるため、公式の対応環境・設定案内を見ながら進めます。
相手にすぐ電話を切られた
日常の用件で別の連絡手段が使えるなら、メールなどで「電話リレーサービスを使って連絡します。最初に通訳についての案内があります」と伝えておく方法があります。利用者が毎回説明する負担だけにせず、会社や施設の受付側にもサービスの説明を共有してもらえます。
字幕の数字や名前が合っているか分からない
日付なら「10月21日ですね」と読み返し、相手に確認を求めます。氏名や住所は、可能なら文字でも送ってもらいます。用件の結論を通話履歴だけで判断せず、正しいと確認できた日時や条件を別にメモします。
緊急時にアプリが応答しない
実際の緊急時は、長い設定変更や新規登録を続けず、安全を確保したうえで、近くの人に通報を頼むなど利用できる別の手段を使います。警察庁も、通信が使えない、アプリが著しく遅い、チャットに長時間反応がない場合などには別の通報手段を使うよう案内しています。
近くの人に見せる文は、たとえば「声で通報できません。救急車を呼んでください。場所は○○です」のように、依頼する用件と場所を短く書けます。通報がつながったら、消防や警察の指示に従ってください。
サポートへ送る問い合わせ例
操作の質問と、緊急の通報は窓口を分けます。登録や設定の不明点は、公式の利用者向けサポートへ送ります。
ヨメテルをスマートフォンで利用しています。自分からは発信できますが、相手から専用番号へかけても着信に気づけませんでした。端末は○○、OSは○○です。○月○日○時ごろに確認しました。通知設定で確認する項目を、文字で案内していただけますか。
スクリーンショットを添えるなら、相手の電話番号や会話内容など、質問に不要な部分を隠してから送ります。
登録先と公式マニュアルを手元に残す
登録が済んだら、公式マニュアルとサポート窓口を見つけやすい場所に保存しておきます。引っ越し・機種変更・メールアドレスの変更があったときは、登録先の案内に従って手続きしてください。
緊急時の連絡方法は、Deaf Naviの暮らしのガイドからも各機関の公式案内へ進めます。
参考資料・出典
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